日本は春先に2冠、秋に最後の1冠という流れになりますが、私が住むアメリカ競馬では、3冠競馬が1ヶ月の間に終わります!

ケンタッキーダービー、プリークネスステークス、ベルモントステークスの3つ。 その中でも、馬主様、関係者様、ファンの皆さま等、立場に関わらず、皆さんに体 験していただきたいのは、ケンタッキーダービーです。 今回はこのケンタッキーダービーの魅力についてご紹介します!

競馬界に身を置くならば、強い馬に携わりたいというのが、全てのホースマンの願 いであると思います。無論、大きなレースを優勝すれば、その分、周囲にいる人間 たちに精神的・経済的な富をもたらしますし、栄誉を得ることもいわずもがなです が、何よりも、1頭の馬との出会いが、そのホースマンの人生を大きく変えること になるからです。例えば、誰もが一度は耳にしたことがある、3冠馬。日本では、 牡馬は皐月賞・日本ダービー・菊花賞、牝馬は桜花賞・オークス・秋華賞の3つの レースを完全制覇すると、3冠馬として認識されることになりますし、一人の人生 を変えるきっかけとするには、十分であると言えます。 アメリカ競馬では、3冠競馬が1ヶ月の間に開催されるのですが、最も早く開催さ れるレースがケンタッキーダービーです。

三冠を目指す馬たちの初戦であるケンタッキーダービーは、アメリカ国内だけで はなく全世界の注目を集めるレースなのです。

1ヶ月で終わる3冠競走

  • ケンタッキーダービー
  • プリークネスステークス
  • ベルモントステークス
ケンタッキーダービー

5月第1週に開催されるのが、ケンタッキーダービー。その名の通り、ケンタッ キー州・ルイヴィルのチャーチルダウンズ競馬場にて、開催されます。

プリークネスステークス

次は、中1週で行われるプリークネスステークス。メリーランド州・ピムリコ競 馬場での開催で、毎年濃霧や雨に見舞われる競馬で、3冠の一角であるにもかかわらず、ここを回避する馬も一定数います。ケンタッキーダービーを勝つと、「2冠 を目指すのは当然」と言わんばかりに、世論に押し出されるがごとく、出走を迫られる不思議なレースです。日本調教馬のフランスゴデイナが参戦したように、日本の馬が挑戦するには、「穴場」であるとも言えるかと思います。

ベルモントステークス

3冠最後は、その後中2週で開催される、ベルモントステークス。ニューヨーク 州・ベルモントパーク競馬場で2400メートルで施行する「テストオブチャンピ オン」と称される、3冠の掉尾を飾るレースとなります。最近では、日本に輸入さ れた種牡馬・クリエイターが優勝。ニューヨーカーたちが盛り上がるレースでもありますが、興味深いのは、2冠を優勝した馬が3冠制覇に挑戦するとき。キャパシティオーバーの観客が詰めかけ、10数万人が押しかける大レースに様変わりします。

それぞれに、魅力的なコンテンツがあり、出走するだけでも名誉ですが、やはり馬主様以下全ての関係者、及び競馬ファンの皆様に体験していただきたいのは、ケンタッキーダービーであると思います。

スポーツで最も偉大な2分間

 ケンタッキーダービーには、異名がついています。有名なのは、優勝後に馬にかけられるレイがバラで作られており(米国スーパーマーケットチェーン・クローガーズの工場で、1本1本、赤いバラの花弁が手作業で縫い込まれていきます)、Run for the Rosesと呼ばれています。米国・ウィンスターファームでは、生産馬のスーパーセイヴァーが優勝した際のバラのレイが、ドライフラワーにされ、種牡馬厩舎の入り口に飾られていますが、このレイを手に入れることが、米国ホースマンにとって、最大の名誉であると言えます。

 同時に、別名・・・といえばいいのかわかりませんが、他の呼称として、The Greatest 2 Minutes in Sportsとも言われます。
 米国競馬でよく出来ていると思う部分は、2〜3歳における競馬において、2000m以上のレースが存在しないことです(私が知る限り)。トライアルレースですら、1800mが最長距離。全ての出走馬にとって、2000mは未知の世界。そして、にほんのダートとは違う、粘土質のダートはスピードも出るため、ケンタッキーダービーの走破タイムはおおよそ2:00 – 2:02秒ちょっと。レコードタイムは、1973年のセクレタリアト樹立の1:59.4。なかなか日本ダートでは、お目にかかれないタイムです。

本馬場入場時に、観衆がマイオールドケンタッキーホーム(昔ケンタッキーフライドチキンのCMで流れていた歌です!)を歌いながら、馬が馬場に入っていきますが、初めて聴いた際には、涙が出てきました。

あの、馬たちを温かく迎えられる瞬間に居合わすだけでも、訪問する価値があります。出走するだけでも、ものすごい名誉です。

ぜひ日本のファンの皆様にも、一度訪れていただきたいですし、馬主の皆様には、もしジャパン・ロードトゥケンタッキーダービーのポイントを取得できる機会がおありになりましたら、遠征を前向きにご検討頂きたいと思います。最高の2分間をお約束します。