アメリカ・カナダ競馬での活躍

木村和士騎手

カナダ・ウッドバイン競馬場で、2年連続リーディングジョッキーに輝いた、木村和士くん。

今年のサンタアニタ春開催から、約3ヶ月間、米国に滞在することを決めて、チャレンジしてきました。
リーディングジョッキーにも関わらず、よい馬に恵まれず、足踏みをしていた感がありましたが、先週末にようやく初勝利!そして、それをG3・ラカニャーダS、重賞勝利で荘厳。当日は父親業に勤しんでいた私に、「勝ちましたよ!」とわざわざ電話をいただきました。

前走G1ラブレアステークスで、3着入線したカーステンボッシュ。道中、ずっと追っつけ通しで、きつかったね〜という話を、レース後にしていたのですが、今回は彼女とのコンビ2回目。手の内に入れつつ、若さあふれる思い切った騎乗で、最後はハナ差で差し切りV。見事に初勝利を挙げました。

友人の依頼でキャップにサインしてもらいました

木村くんの細かい経歴は、平松さとしさんの取材記事を参照いただければ。

北米で日本人初の快挙!! エクリプス賞を受賞した若き男はこんな人だ

 

福元大輔騎手

福元大ちゃんは、ベルモントへの遠征中に、角田厩舎・高野容輔助手(元騎手)をつたって訪ねてきてくれたことをきっかけにお付き合いに至っていますが、彼も華々しい実績を収めてきています。

まず、特筆すべきは、カナダで突出した知名度のレースを勝っていること。カナダのダービー、クイーンズプレートを優勝、カナディアンダービージョッキーの称号をもぎ取ると、その後はブリーダーズカップマイルへの挑戦権を得られるBCチャレンジレースでもある、G1ウッドバインマイルを優勝。ブリーダーズカップへの遠征にはいたりませんでした(馬自体)が、国際的に目立つレースに勝っていることは、なかなかできることではありません。

アメリカへの遠征も、どうなるかなぁと思っていましたが、3ヶ月の間にG3サンシメオンSを優勝するなど、こちらもしっかり実績を作り、米国関係者にImpressiveな瞬間をもたらしました。

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彼らから学んでいること

すでに不惑の年齢に突入(未だに惑いまくりなんですけど)している私が、彼らと一緒にいて喜びを得られるのは、彼らから多くの刺激をもらい、また学ぶことができるから。
もちろん、同じ北米に住む同胞、しかも一回り以上も年下の彼らですから、弟のようなかわいさも感じます。

いろいろと勉強させてくれることはありますが、主に以下の2つが挙げられると思っています。

騎手として、人間として、人生をよく考えている

たとえば木村くんからいつも感じることは、強烈なプロフェッショナリズム。

食事の管理、騎乗、キャリア、人生。騎手という特殊なアスリートだからこそ、体調管理等も十二分にきをつけなければなりませんが、その一つひとつに対して、彼なりの結論を出して行動に移している気がします。
今や、カナダでは押しも押されぬリーディングジョッキーとなった立場に飽くことなく、次の挑戦を続けていく。しかし、リーディングとしての立場が、けっして軽くないことも自覚している。

どちらかというと、瞬発的な反応で人生を決めてきた私には、彼の生き方は真逆。でも、そこに学ぶ内容は非常に大きく、いつも彼に会うのを楽しみしています。

次への挑戦に躊躇がない

福元大ちゃんは、木村くんとはまた違う感じ。彼も本当に愛すべきキャラクターで、ふら〜っと来て、ふら〜っとどこかへ行ってしまう、風に吹かれて世界を旅するワールドトラベラー、という言葉が似合うかもしれません。

「トルコ行ったときの話なんですけど・・・」で始まった彼のストーリーは、個人的に「まじで!!」の連発。まず、トルコ語は一切しゃべれないけど、とりあえず行ってみよう、で、ふら〜っと行き(笑)、厩舎のゲートに行ったら、誰も英語を話せず・・・「これは詰んだな・・・」と思ったら、英語を話せる人が一人だけいて、サポートしてもらって競馬に乗れたとか。

他にも、確か中東あたりにも何度も乗りに行っていますし、実は今年も「あの時追い切った馬が出るから、ワンチャン乗れるかも」と、アメリカにふら~っと飛んできていたのです。
結果、乗れなかったんですが(笑)、でもその身軽さというか、次のレースに挑戦するのに、全く躊躇がないのです。おそらく、日本でスポットの1鞍だけ騎乗依頼があったとしても、彼は喜んで飛んでくると思います。

もちろん海外在住組、特に英仏西等のメジャーな言語圏になると、言語の壁がなくなり、どこに行くにしても全く躊躇はなくなります。「明日アルゼンチンに行ってくれる?」と言われても、二つ返事で飛んでいけます。人間が図太くなるということもあるかもしれませんが。

新時代

もちろん、木村くんも福元くんも、今でもベースとはカナダ・ウッドバイン。しかし、どこにでも行けるその身軽さが、彼らを今までの日本人では、類を見ないカテゴリーの騎手に押し上げていっていることは、間違いないです。新しいジェネレーションだからこそできることを、彼らが一つひとつ証明していってくれている気がします。

日本の若手にとって、今はボーナスタイム

競馬に関わる人たち、つまり調教師・厩務員・調教助手・騎手をはじめ、獣医や装蹄師等もその職種に入りますが、今の若い人たちにとって、今はボーナスタイムと言えるでしょう。

北米は上記2騎手をはじめ、私も含めて、日本人のチャレンジャーをサポートできる下地があります。昔は本当に腕一本で飛び込んできたわけで、現在はその苦しさを味わわなくても核心をつかむきっかけができるわけですから、これ以上に恵まれた環境はありません。

どこの競馬先進国に行っても、必ず日本人のホースマンがいるのです。もうラッキーとしか言いようがありません。

踏み出さずして、結果は得られない。福元大ちゃんの重賞なんて、確かいきなり騎手乗り替わりになって掴んだ勝利だったのです。競馬場にいなければ、声をかけられることもない。やはり、飛び込んでいくことも、競馬&人生を開くのに大事なファクターであると言えるでしょう。

地方・中央の所属に関わらず、ぜひ若い人たちには挑戦していただきたいと思います。