みなさんご存知の通り、近年、日本の競走馬のレベルは飛躍的に向上しています。昨年の矢作厩舎2頭のブリーダーズカップ制覇、また今年のサウジ・ドバイミーティングにおける日本調教馬の活躍は言わずもがな。英国・豪州サーキットにおける、日本の種牡馬による産駒の活躍も目覚ましいものがあります。
その中で、私個人的に常に気を留めているポイントは、「人」です。
日本と海外では、調教方法も馬のケアも違う
私は乗る方は乗馬レベルなので、生意気なことは言えませんが、各種遠征に関わらせて頂き、いろいろな方々の仕事を間近で拝見したこと、また、その仕事から導き出される競馬の結果からして、日本競馬の方々の仕事内容については、日本は「日本なり」に正しいと思います。少し前までは、日本式の調教や追い切りを海外でやると、「アレはなんだ?」「あんなことして勝てると思っているのか」という声が、ちらほら聞こえました。マスターフェンサーが、ケンタッキーダービーやベルモントステークス前に追い切った際、なかなか反応してくれない性格なので、高野容輔助手はムチを入れてビッシリ追い切りました。その時も、「レースの前にあんなにやって勝てるわけがない」と、ほうぼうから囁かれたものです。
しかし、レースでは見事な追い込みを見せ、ケンタッキーダービーでは日本馬最上位の6位入線、ベルモントSでは5着入線の大健闘。角田晃一調教師のやり方に、誤りはなかったことを証明しました。(その裏では、帯同していた栗原勝稀さんとの連携プレーが功を奏していたことも記しておきます)
絶え間ない、学びが重要
動物自体のハンドリングが上手な、メキシコ人
アメリカの厩舎は、かなり多くのラテン系厩務員が勤務しています。多くは隣国メキシコからですが、時にパナマ、アルゼンチンやチリ等、中南米のスペイン語圏から来るケースがほとんどです。名門、トッド・プレッチャー厩舎が、ケンタッキーダービー優勝後に取った厩舎スタッフの写真に、写っているのはほとんどがラテン系スタッフです。
彼らの競走馬のケアは見事なものがありますが、それを裏打ちしているのは、競走馬ハンドリングの経験以前に、そもそも「動物の扱い」が非常に上手なのだそうです。
生まれたそばから、馬以外のニワトリやうさぎ、犬や猫、ヤギ等々、多くの動物たちに囲まれて育ってきた環境が大きいのだそう。つまり、馬の扱いは彼らの特長の一部で、そもそも動物たちの扱いが上手なのです。そう考えていくと、ラテン系のホースマンたちが、プレゼンスを獲得していることも頷けます。
人材育成が大事。
やはり、馬に携わるのは人。人の育成が大切です。それは、ただ単にスキルを磨くだけではなく、師と仰ぐ人間によっては、人格も陶冶されビジネスセンスも磨かれます。
馬の扱いが上手いです、これだけ私は知っています、これだけ人脈があります、と言っても、人間として、ホースマンとして信用できるか、真っ当なビジネスを展開していけるか。業界挙げて、育てていく流れを作らねばならないと思います。
私の在住する南カリフォルニアはもとより、ニューヨーク、”The Horse Capital”のケンタッキー、フロリダ等、米国競馬の中心地で、騎手、調教師、厩務員、調教助手、育成等、全てのポジションにいらっしゃるホースマンの皆様方に、研修のアレンジすることは可能です。
コロナ禍の収まりつつある現在、渡航制限も少しずつ緩みつつあります。それぞれのお立場から感じるところもおありになるかと思います。ぜひこの機会に、お気軽にお問い合わせください。