一人で仕事をするようになると、多くの障壁や制限も生まれますが、同時に、いろいろとメリットが生まれます。完全な私見なので、諸先輩方はまた違うご意見がおありかと思いますが、こと競馬界の話になると、組織に属するよりも個人(独立、個人事業主、経営者・・・言い方は何でもいいです笑)で仕事をした方が、自分の信じる道を進んでいける気がします。なぜなら、調騎厩(調教師・騎手・厩務員)でない限り、どんな仕事も自由にできるからです(この「自由度」については、また機会を設けて一意見を投稿してみたいと思います)。
 自由にできるようになったことに至り、始めたプロジェクトの一つは物販です。

岡山から世界へはばたけ!ONZOジーンズ

 プロモーションを開始した物品の一つは、岡山県児島市に居を構え、田中洋之さん率いるBelis Factoryが作る「ONZOジーンズ」。これは、まさに馬乗りのために作られたジーンズで、履き心地に優れ、騎乗中も体に馴染むということで、日本のトレセン関係者の中でも人気の高いもの。耐久性も素晴らしいもので、通常のジーンズの約5〜6倍(騎乗数に依存)ほど、耐久力があります。
(ちなみに武豊騎手や福永祐一騎手等、一部の騎手・助手さんでは、さらに使用期間が長いようです)

 ブリーダーズカップ遠征に取材に来られていた、テレビ東京の川口卓プロデューサー。しばしば連絡を取らせて頂いていますが、なかなか日本のテレビをアメリカで目にすることもないため、川口Pが携わった見逃しYouTubeリンクを教えてくださったことがきっかけ。「こういうジーンズは需要あるんじゃないかなぁ」とふと思い、即、川口Pに連絡。

「メイドインジャパン企画に出ていた、ジーンズの会社、紹介していただけません?」

 一人で仕事をしていると、許可とか稟議とか通らなくていいので、まず即行動です笑。そうしたら、ほどなく川口Pからご連絡を頂き、すぐに田中さんにおつなぎいただきました。
 その後、LINEを交換して、ビデオ通話で打ち合わせ。取材時にも見せられていた、田中さんの優しいお人柄を、ビデオ通話でも感じることが出来ました。そのときに、率直に感じたことも聞いてみました。

「耐久性に優れたことはわかりましたが、壊れてくれた方がリピートされません?」

 おそらく、ここが物販を生業とする人たちにとって、固めなければならないポリシーだな、と思いながら聞いてみました。なぜなら壊れやすいほうが、購入頻度が高くなる可能性があがり、かつ製品へのコストも安くなるので、利益としては大きくなるわけですが、品質の面では劣る、という印象を与えかねない部分もあり、諸刃の剣でもあります。

 この質問を田中さんに投げかけた際、返ってきた答えは、

「そうなんですよね。でも長く使ってくれて、その品質を感じてもらえないとダメだと思うんです」

 同じようなコメント、どこかで聞いたなと思いながらお話していました。
 日本が世界に誇る一大企業、トヨタ自動車株式会社。トヨタを率いるのは、創業家一家から出た、豊田章男社長。最近少しご無沙汰しておりますが、少し前までYouTubeのトヨタイムズで、お考えを拝聴していました。そこで豊田社長が言われていた内容で印象深かったのは、

「トヨタ車は全世界、様々なコンディションの地域を走る。街中、酷暑の砂漠、極寒の地、その他諸々。そういったところで生活や仕事を支え、20年、30年乗ってもらい、最後クルマを手放すときに、『ああ、このクルマを買ってよかったな』と言ってもらえるかどうかが勝負」

と言った内容の発言でした(少し尾ひれ付いてたらすみません)。

 田中さんの製品への哲学は、まさにこれに近い部分があるのかなと、勝手に感じ、この人であれば信用できる人だな、という思いを強くしました。

もうアメリカに上陸しています。

 実は、もう既に今年の初頭にサンプルを頂戴し、アメリカ競馬関係者にトライしてもらっています。

 エクリプス賞・最優秀アプレンティスのDrayden Van Dyke。

Drayden Van Dyke

フランス人の調教師で、2014年に一緒に東京大賞典に遠征した、Leonard Powell。
(彼の使っているライダーにも使用してもらっています)

Leonard Powell

カナダから3ヶ月のトライアルでサンタアニタに来ていた、福元大輔騎手も、ちゃっかりトライ。

Daisuke Fukumoto

 現在、東海岸のトップジョッキーにも使用してもらえるように、働きかけているところです。アメリカも、いかに自分の仕事に合ったものを使えるか、ということを、いつも気にかけています。

無論、ジーンズは朝の調教でしか履けないわけですが、特に追い切りは、騎手にとっても馬との呼吸を確かめる大事なもの。そして、調教師はその動きを見ながら鞍上を選定するわけで、騎手がスムーズな動きで騎乗できていれば、その分だけ、騎手の営業としても有利。ほんの1%だけでも、良い影響を与えることができるなら、それ以上の喜びはありません。

 もし、既に手元に製品をお持ちで、アメリカ市場への参入をご希望の方は、どうぞご遠慮なくお問い合わせください。関係者への意見収集を含んだマーケティングから、お手伝いさせて頂きます。

 ちなみにONZOジーンズは、楽天等でご購入可能です!!